出エジプト記

 エジプトで生まれたモーゼが神の啓示を受けて、エジプト在住のユダヤ人を引き連れてカナンの地に移住するまでの物語。モーゼは頭に角が生えた姿で描かれることが多いが、 これは、ヘブライ語で書かれた聖書をラテン語に翻訳する際、もともと、ヘブライ語の「光」には「角」という意味もあり、「顔から光がでていた」を「顔から角がはえていた」と 誤訳した結果、と言われている。

１）モーゼの出生

 エジプトにおけるユダヤ人勢力の伸長を恐れたファラオ（エジプト王）は、ユダヤ人の新生児が男ならナイル川に捨てる事を命令。モーゼは姉のミリアムが一計を案じ、エジプト王女の水浴びの場に 葦の籠に入れておかれ、それが王女の目に留まり、宮中で育てられることになった。

「出エジプト記２−1〜４」：モーゼ、葦船に乗せられる






「出エジプト記２−５」：ナイル河畔でのモーゼの発見






２）成人したモーゼは同胞のユダヤ人が過酷な労働を強いられているのに我慢できず、エジプト人監督を殺害、逃亡する。

「出エジプト記２−１２」：モーゼのエジプト人殺害






３）ユダヤ人のコミュニティで暮らしていたモーゼは、ある日、赤々と火が立っているのに燃えていない柴垣の中で、同胞の苦しみを救うためにカナンの地に 移住せよとの神の啓示を受ける。

「出エジプト記３−５」：燃える柴垣






４）モーゼはモーゼの十災と言われる災害を引き起こしながらエジプト王と同胞のエジプト出国の交渉をし、最終的に王の同意を得た。10番目の災厄は、後に過ぎ越しの祭りの 淵源となった全エジプト人の家の初子を殺すというもの。

「出エジプト記７」：モーゼの杖が蛇になる：モーゼと兄のアロンは、神の命に従い、王に、虐待されているユダヤ人がエジプトから出国することを要請する。 モーゼが杖を蛇に変えて奇跡をおこしたが、王の魔術師も同じことを行ったので、王はモーゼの要求を受け入れなかった。


「出エジプト記１２」：エジプト人の初子の殺害：主は、「子羊を用意し、その血を家の鴨居に塗るよう、又、酵母の入ってないパンを焼き、食べる事」命じた。その夜、鴨居に 血が塗られてないエジプト人の家の初子は、すべて主によって殺害された。これが、ユダヤ人の間に伝えられた過ぎ越しの祭りの淵源である。エジプト王は、モーゼには神が ついていることを悟り、ユダヤ人のエジプト出国を認めた。

５）エジプト王は、モーゼとの約束を後悔し、大軍を率いてユダヤ人の後を追った。モーゼは葦の海を前にして神に祈ると海が分かれて大地が開け、無事対岸に 渡ることができた。エジプトの大軍が後を追うと波に呑み込まれ全滅。

「出エジプト記１４」：葦の海での渡海　






６）カナンまでの道は遠く、険しく、モーゼ一行は苦難したが、マナというパンなどを神から与えられ、苦境を凌いだ。又、渇きに苦しめられていた一行の為に モーゼが手にしてい杖で岩を叩くとその岩から水が湧き出した。

「出エジプト記１６」：神からのパンとうずらの賜物　


「出エジプト記１7」：岩から水が湧き出す　

７）エジプト出国3か月でシナイ山にたどり着き、モーゼは一人で40日間シナイ山に籠もり、神と十戒の契約を結ぶ。

「出エジプト記１９」：シナイ山での啓示






「出エジプト記２０」：十戒を授かるモーゼ






８)モーゼが長い間、シナイ山に籠もっていたのでユダヤの民は不安になり、金の牡牛の像を作り、これを崇拝する。

「出エジプト記３２」：金の牡牛の崇拝






９)シナイ山から戻ってきたモーゼはこれを見て怒り、十戒が刻まれた石板を投げ捨て、拝んだ人全てを殺す。その後、もう一度シナイ山に登り神の許しを請い、 新たな十の戒めを刻んだ石板を与えられる。

　 「出エジプト記３２：１０〜１９」：モーゼ、怒りのあまり十戒の刻まれた石板を壊す。



民数記

 エジプトを出た後、カナンの地に入るまでの物語。

１）モーセへの協力体制を強固にするための氏族と父祖の家に基づく人口調査、宿営や行軍の配置と役割、さまざまな清め、 ナジル人(特別な誓約を神にささげた人）の聖別，供物，過越祭 等を記述している。

「民数記１２」：ミリアムとアロンの反抗：モーゼの姉ミリアムと兄のアロンは、モーゼがイスラエル人以外の女と結婚した事を非難したが、モーゼは、沈黙を 保った。黙っているモーゼに代わり、神は、モーゼが神の言葉に忠実であることを理由に、預言者としてモーゼを選んだ事を説明し、避難した二人に対し、 罰を下し、ミリアムは重い皮膚病を患った。


「民数記１３」：カナンの偵察：カナンの地の様子を探るために偵察をだしたところ、豊かな土地であることが判明。




「民数記２０」：モーゼ、岩から水を取り出す：カナンへの途上、民は水がなく苦しんだが、神はモーゼに「杖をとって岩を叩けば水が出てくる。」と告げた。



「民数記２１」：モーゼと青銅の蛇：カナンへの途上、苦しみのあまり民は神に対し逆らうと、神は燃える蛇を送り込み、多くの人が咬まれて死んだが、モーゼが 民の為に祈り、神の指示に従って青銅の蛇をつくりそれを十字架にかけた。民がその青銅の蛇を仰ぎ見ると死んだ人も生き返った。

２）カナンの先住民との戦い、ヨルダン川にたどり着く。

「民数記２２」：占い師のバラムは、モアブ人の王バラクに頼まれて、ユダヤ人を呪おうとする。これは神の意志に反しており、バラムは神意に従ってロバに乗ってバラクに会いに行くが、 ロバには神の遣わした天使が見えたので、前に進まなかった。


「民数記２4」：神はモーゼに対し、イスラエル人に約束したカナンの地の境界線を伝えた。




３）カナンを前にしてモーゼは死去し、ユシュアが後を継ぐ。

  デルフト・聖書タイル「創世記」

  デルフト・聖書タイル「イスラエル王国建国」

  デルフト・聖書タイル「イスラエル王国滅亡」

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